自 2024(令和6)年 4月 1日
至 2025(令和7)年 3月31日
前年度(第52期)は,青少年交流において,北米に加えニュージーランドとの交流も復活し,相互交流としての受け入れプログラムも復活することができました。しかし,コロナ禍を経た今なお,不安定な世界情勢はつづき,訪問国におけるインフレの影響は少なからず交流に影を落としております。交流プログラム復活後の一昨年から,本交流始まって以来の事態,すなわち「参加希望者全員のプログラムへの参加」はかなっておりません。昨夏は中学校1年生を中心とする約400名の参加希望者に延期をお願いいたしました。事務局ならびに交流相手先団体の努力にもかかわらず,今年の夏も333名(参加希望者727名,受入れ人数394名)の参加延期をお願いする事態が続いております。これを打開するには,現交流先団体への激励にとどまらず,新規交流先の獲得が課題です。ニュージーランド訪問においては,参加希望者の男女構成数と受け入れ可能男女数の不一致のため,10名の男子の枠を残しての確定となりました。短期留学プログラムとしての魅力をクローズアップし,参加の可能性をひろげていきます。韓国交流は相手先団体(韓国ラボ)の創立50周年の行事にお祝いとして駆けつけ,2001年の相互交流再開以来のこの交流の意義を相互に確認することができ,交流時期の微調整はありましたが,力強い継続の確認をすることができました。また,<入国ビザ必須>という大きなハードルがあり,いまだ交流再開となっていない中国との交流プログラムは,再開に向けた調査団を3月下旬に派遣し,2025年春の再開を模索いたします。
受け入れプログラムは,訪日者の増加と呼応するように復活しています。受け入れていただく日本の各ご家庭に相互交流の意義をよりていねいに伝え,来日者だけでなく,受け入れ家庭にとっても有意義な教育プログラムとしての充実を図ってまいります。来日者への日本語プログラムは引き続き「ラボ日本語教育研修所」の協力を得て実施いたします。いずれの青少年交流プログラムも,国際交流プログラム参加への夢を長年にわたり育んできた子どもたち,その保護者,また受け入れ家庭のみなさん,そして参加者の成長を見守ってきたラボ・テューターのみなさん,加えてこの交流に関わる全てのみなさまの期待に応えるべく,内容の充実を図ってまいります。そして,このプログラムのめざす「ひとりだちへの旅」が,参加者ひとりひとりにとってかけがえのない体験となるよう,安全と健康に最大限の注意をはらい,ラボ教育センターとの協働のもと遂行してまいります。
言語についての教育と研究活動では,東京言語研究所の主たる事業である理論言語学講座を新型コロナウイルス対策として始まったZOOMによるオンラインで実施に合わせ,特別講座では対面講義とオンラインを併用した講座の開催も実施し,対面講義へのニーズにも応えていきます。春期講座では,2日間で幅広い領域にわたる講義を展開します。また,言語を広い視野から捉える機会としての公開講座,言語学の専門領域を二日間で深く学ぶ集中講義および秋の講座として定着してきた日曜講座「教師のためのことばセミナー」も引き続き開催します。
今年度の具体的な事業計画は以下のとおりです。
53年目,51回目を迎えるアメリカ交流は,7月下旬から8月下旬まで約4週間,引率者を含め中学生・高校生の当財団会員359名が全米19州にホームステイの予定です。提携団体は,米国4-H,ペンシルバニア州メノナイト協会,ユタ州ベアリバー・インターナショナル・エクスチェンジ。
また今夏,34名の青少年が来日予定です。来日者は全国各地の当財団会員宅に4週間ホームステイしながら日本の青少年と交流する予定です。
50年目,47回目を迎えるカナダ交流は,7月下旬から8月下旬まで約4週間,引率者を含め中学生・高校生の当財団会員62名がホームステイの予定です。提携団体はカナダ4-H・青少年交流委員会,コンタクトカナダ,JCコミュニケーションズ。今期はカナダから数名の来日の予定があります。
今冬,数名の青少年が来日を希望しています。夏期の訪問はありませんが,今後相互交流を前提として検討を進めてまいります。
23年目,20回目を迎えるニュージーランドとの交流は,昨年,コロナ禍以降4年振りに開催をしました。今夏はタウランガ・ボーイズカレッジ,タウランガ・ガールズカレッジ(高校)タウランガ・インターミディエットスクール(中学)の提携校に加え,昨年新たに加わったカティカティハイスクールに,新にオモコロアポイント・スクールが加わって,60名の中学,高校の当財団会員を派遣する予定です。
昨年に引き続き,今冬も来日をする予定です。今期も相互交流ができるようにいたします。
39年目,35回目となる中国との交流は,中国政府がビザなし渡航を認めるかどうかで実施が決まります。なお,第52期末(2024年3月18日から23日)に,林理事長と2名の事務局員,6名のラボ・テューターが,上海外国語大学付属外国語学校と北京月壇中学を訪問が決まりました。第53期の中国青少年交流の実現に向けて視察を行います。
再開24年目,21回目の韓国との交流です。提携団体は「社団法人韓国ラボ」です。今夏は訪問,来日とも実施しますが,前年度同様訪問には多くの参加希望者があり,来日,受入れとも15名の定員のため抽選を行う予定です。なお,来日者は,関西を中心にホームステイを行います。
27年目のオレゴン国際キャンプは,自然の中での協力意識を育てつつ,キャンプリーダーとしてのスキルも身につけ,自然との共生への理解を深める目的で行われます。キャンプには同世代のアメリカ人学生も参加し,友情を育みながら相互理解を促進する機会となります。今夏は24名の定員のところ16 名の参加者となっています。当財団の会員である中学生から大学生が,引率者2名と様々な野外活動に挑戦する予定です。なお,今期も一律に中学1年生は国際交流プログラムの参加対象外としましたが,オレゴン国際キャンプのプログラムの特殊性に鑑みて,来年度は中学1年の参加を認め,定員を満たせるようにします。提携団体はオレゴン州ポートランドに本部を置く,オレゴン科学産業博物館(OMSI)です。
(1)概況:37年目を迎えるラボ高校留学プログラムは,過去1,425名の高校生をアメリカ,カナダに派遣してきました(現在留学中の15名を含む)。高校生年代の若者にとって,外国での約一年間にわたる長期異文化体験は強烈なインパクトを与え,その後の人生に大きな影響を与えています。現在,アメリカ9名(全員女子),カナダ8名(内男子2名)が参加を予定しています。
現在留学中の第36期留学生は,15名(アメリカ:12名カナダ:3名)が,アメリカとカナダの高校に10か月の留学中で,全員元気に過ごしています。
(2)選考方法の変更:アメリカの受入れ団は,昨夏,受験用の英語のテスト,ELTiSテストをペーパーバージョンからオンラインテストへと切り替えました。これは,ペーパーテストは世界各国の送り出し団体が実施をしますが,手元にテスト用紙が残る影響もあってか,高得点を得た留学生が渡米後,実際に現地へ来て見て,英語力がさほどないことがは判明し,ついてはテストの不正が疑われ,オンラインへと切り替わりました。
(3)準備活動:親子オリエンテーション(オンラインで実施),全国事前研修合宿等(4月末の連休に代々木のオリンピックセンターにて実施)の事前準備活動に参加します。
(4)出発:米国への留学生は,8月上旬より,カナダへの留学生は,8月下旬に,グループ単位で日本を出発し滞在先まで移動します。到着後に行われる到着時オリエンテーション(アメリカは,4-Hはシアトル6名,ASPECTは3名で場所はワシントン州べイングハムのWhatcom College です。カナダはバンクーバーで8名が,West Vancouver Secondary Collegeで,ホームステイをしながら通学しての研修を受けます。留学先ではホームステイをしながら現地の公立高校に約10 か月通学します。
(5)受入れ団体:米国の提携団体は,米国国際教育旅行基準協会(CSIET)に認可をされている非営利団体,4 -H,Aspect Foundation です。カナダの提携団体は,各州・各地区の教育委員会(BC:Okanagan Skaha, Cualicum SD, AB : Red Deer, Canadian Rockies Public Schools)です。
今年36年を迎えるラボ・インターンプログラムでは,アメリカから2名の大学生年代の学生を招聘予定です。滞在中は当財団会員家庭にホームステイをしながら,日本語学習,各自の日本文化研究,青少年との交流,海外青少年の受入れプログラム対応などの活動に参加します。日本文化研究については,各自が興味をもつ日本文化について,学習・研究をおこない,帰国前に研究成果を発表します。
例年,3月末から6月にかけて,全国8ヶ所(神奈川,埼玉・名古屋・大阪・広島・香川)で,九州はオンラインでラボ国際交流参加者を対象にした「ラボ国際交流のつどい」を開催します。それぞれの地域で参加者一人ひとりが自己紹介と決意表明を行う予定です。
米国4-Hとの交流では,円滑なプログラム運営のために全米各地の4-H代表者との日米交流委員会を構成し,合同委員会を1回開催してきましたが,コロナ禍においては対面型の会議は叶いませんでした。今秋5年ぶりに,11月のアリゾナ州にて,最大の受入れ団体のStates' 4-H International Programsの理事の皆さんとの合同会議と,全米交流担当者とラボ国際交流50周年を祝う会が,ツーソンにて開催されます。ラボからはテューター,事務局,合わせて30名が参加予定です。
米国ユタ州の受入れ団体は,昨年よりベアリバー・インターナショナル・エクスチェンジに変更となりましたので,事前,もしくは事後でのオンラインミーティングを考えます。カナダの受入れ団体であるコンタクトカナダは,代表者が年に1~2回来日して,日本でミーティングを行います。アルバータ州4-HやJCコミュニケーションズに関しては,オンラインでのみ考えます。
東日本大震災後,各国大使館・企業・NPO法人などの協力のもと,被災児童の海外派遣事業「Support Our Kids Project(SOK)プロジェクト」は2025年まで延長をすることが決まっています。当財団も状況に応じて協力の予定です。
理論言語学講座は1966年に開設され,言語学に関心を持ちながら大学の内外で十分な学習の機会・場所が十分ではない研究者・新進の人材の育成を目的に開催されています。
今年度の理論言語学講座は「言語学概論」(窪薗晴夫先生他),「生成文法入門」(平岩健先生),「認知言語学Ⅲ」(池上嘉彦先生)等の講座20課目を開講します。また,今年度は意識的に女性研究者を例年より多く登用し,ジェンダーバランスへの配慮にも取り組んでいきます。
春期講座は,現代言語学の主要な研究領域やアプローチを受講者に紹介し,魅力ある言語学の世界に誘うことを目的に実施されます。今年度は4月13日と14日の2日間,16科目をオンライン配信で開講します。
理論言語学を中核に据えた理論言語学講座,春期講座,集中講義に加え,夏期講座・公開講座など現代社会のニーズに合わせた講座を開催し,言語学研究,言語教育に携わる多くの方々の多様な要望に応えてきました。今年は公開講座(3回)・集中講義(2回),日曜講座「教師のためのことばセミナー」を開催します。
今夏,15名が6月中旬から7月上旬まで来日します。当財団会員の日本人家庭にホームステイしながら,3週間の日本語研修に参加します。ラボ日本語教育研修所(赤門会)が引き続き担当します。
18年目を迎えたカナダ・ラングブリッジ教育センター(LanguBridge Education Centre)との提携の日本語研修プログラムも,今夏引率者1名を含めたアメリカ,カナダ,ヨーロッパなどの高校生21名が7月中旬から8月上旬まで3週間の日本語研修プログラムに参加予定です。ラボ日本語教育研修所(赤門会)が担当します。
事業概要を紹介し,青少年国際交流や異文化理解教育の促進を行いうために,広報誌『ラボの世界』を年4回発行します。今期も全編ウェブ版(PDF 形式)で作成し,ラボ国際交流センターのホームページ上に掲載します。
1、訪問プログラム | 2024年予定人数 | 前年参加者数 |
---|---|---|
北米(アメリカ・カナダ) | 402 | 373 |
ニュージーランド交流 | 60 | 67 |
中国交流 | 0 | 0 |
韓国交流 | 16 | 15 |
オレゴン国際キャンプ | 16 | 26 |
訪問合計 | 494 | 481 |
2、受入れプログラム | 2024年予定人数 | 前年参加者数 |
---|---|---|
北米 | 31 | 41 |
オーストラリア受入れ | 0 | 0 |
ニュージーランド受入れ | 20 | 43 |
中国受入れ | 0 | 0 |
韓国受入れ | 15 | 15 |
インドネシア交流 | 0 | 0 |
ラボ・インターン | 2 | 2 |
受入れ合計 | 68 | 101 |
3、高校留学 | 2024年予定人数 | 前年参加者数 |
---|---|---|
アメリカ留学 | 9 | 12 |
カナダ留学 | 8 | 3 |
高校留学小計 | 17 | 15 |
4、東京言語研究所 | 2024年予定人数 | 前年参加者数 |
---|---|---|
理論言語学講座 | 130 | 150 |
5、日本語研プログラム | 2024年予定人数 | 前年参加者数 |
---|---|---|
北米短期プログラム | 15 | 21 |
ラングブリッジプログラム | 21 | 18 |
※訪問プログラムは引率者を含む。
以上