公開情報

財団事業公開情報 言語の調査研究活動 異文化理解の促進

事業計画書

第55期事業計画書

自 2026(令和8)年 4月 1日
至 2027(令和9)年 3月31日

はじめに

 世界的なインフレの進行と不安定な国際情勢は,プログラム運営の原価構造に大きな影響を与え続けています。第54期は,単なる「活動の復旧」から脱却し,ラボ教育の根幹である「ひとりだちへの旅」を次代へと持続させるための,質的向上と経営基盤の抜本的な強化を断行する年と位置づけてきました。

国際交流プログラムの拡充と供給力の強化

 北米交流における参加希望者と受入れ枠の慢性的なミスマッチ解消は,最優先課題です。昨夏,夢を抱きながらも282名の子どもたちに延期をお願いせざるを得なかった事態を真摯に受け止め,今期は既存の提携先との信頼関係をさらに深めるとともに,現地での新たな受入れ小グループを戦略的に追加いたします。また,参加意思確認後のキャンセル防止策も講じ,これにより,参加枠を10%程度拡大し,一人でも多くの青少年に国際交流の機会を提供してまいります。ニュージーランド交流においても,短期留学としての教育的価値をさらに広め,多様な希望に応えうるプログラムへと進化を遂げさせます。
 本年度は,諸物価高騰に対応した参加費の適正化を断行いたしますが,これは「安全・健康」という絶対的な前提を守り抜き,ラボ国際交流の質を維持・発展させるための苦渋の,しかし不可避な決断です。

相互交流の深化と受入れ事業の新たな意義

 韓国・中国との交流は,民間ならではの揺るぎない絆を象徴する活動です。相手先団体との緊密な連携のもと,継続こそが相互理解の礎であるという信念を貫き,交流の質をさらに高めます。ただ,中国交流においては,政治的な影響をうけたと推察できる事象(上海への訪問中止)が起こっており,今後の中国交流の在り方について一石が投じられた形となっております。また,訪日者数の増加に伴う受入れプログラムは,来日者のみならず,日本のホスト家庭にとっても深い教育的意義を持つものです。「ラボ日本語教育研修所」との連携を強固にし,言語教育と異文化理解が融合した,唯一無二の受入れ体験を創出してまいります。

言語教育・研究活動と組織の使命

 東京言語研究所は,理論言語学の探究を通じた社会貢献に加え,ラボ教育の知的基盤を支える重要な役割を担っています。オンラインと対面の利点を融合させたハイブリッド形式を定着させ,全国の受講者の知的好奇心に応えるとともに,集中講義の開催数を増やし,学術的な活力をさらに波及させてまいります。
 現場を支えるテューター,そして職員一同の教育への揺るぎない使命感を結集し,今期事業を力強く推進してまいります。

 今年度の具体的な事業計画は以下のとおりです。

1. 青少年の国際交流活動 ~ ホームステイ相互交流
a. アメリカとの交流

 55年目,53回目を迎えるアメリカ交流は,7月下旬から8月下旬まで約4週間,引率者を含め中学生・高校生の当財団会員302名が全米20州にホームステイの予定です。提携団体は,アメリカ4-H クラブ,ペンシルバニア州メノナイト協会,ユタ州ベアリバー・インターナショナル・エクスペリエンス。
 また今夏,33名の青少年が来日予定です。来日者は全国各地の当財団会員宅に4週間ホームステイしながら日本の青少年と交流する予定です。

b. カナダとの交流

 52年目,49回目を迎えるカナダ交流は,7月下旬から8月下旬まで約4週間,引率者を含め中学生・高校生の当財団会員22名がホームステイの予定です。提携団体はカナダ4-H ・青少年交流委員会。今期はカナダから数名の来日の予定があります。

c. ニュージーランドとの交流

 ニュージーランドとの交流は,25年目,22回目を迎えます。受入れ校は,タウランガインターミディエットスクール,タウランガボーイズカレッジ,タウランガガールズカレッジ,カティカティカレッジ,オモコロアポイントスクール,タウマタスクールそして今年新しく受入れを予定しているテプケインターミディエットスクールの7校になります。71名の中学,高校の当財団会員と7名の引率者が参加します。なお,参加ラボっ子は短期留学生として各学校に登録されますが,各学校ではラボっ子ひとりに対し「スクールバディ」という,同性,同年代のお世話役がつくため,2025年からホームステイ先での同性,同年代の「ホスト」制度を取止めました。その影響か,参加者が昨年より17名減となりました。「ホスト」制度の廃止が,交流体験の濃淡には関係ないことを伝えていく必要があります。今年は,参加時中学校1年生も参加できることになりました。
 昨年に引き続き今冬も来日者受入れをする予定です。今期も相互交流ができるようにいたします。

d. 中国との交流

 中国交流は,41年目,36回目を迎えます。昨年6年ぶりに交流を再開しました。今年の参加者は,東北から九州の小学生から大学生の19名のラボっ子と,9名のテューター,事務局2名の計30名が参加します。当初,上海外国語大学付属外国語学校の受入れを予定していましたが,スケジュールの都合から受入れが延期となり,その期間,参加者はラボライブラリーの「西遊記」とゆかりのある土地,西安を訪れ,大雁塔や兵馬俑などの見学を予定しています。その後北京へ移動し,北京市月壇中学の生徒さん宅でホームステイを予定しています。
 夏には北京市月壇中学校の受入れを予定しています。

e. 韓国との交流

 再開26年目,23回目の韓国との交流です。提携団体は「社団法人韓国ラボ」です。今夏も訪問,来日とも実施しますが,前年度同様訪問には多くの参加希望者があり,来日,受入れとも15名の定員を予定です。なお,2025年来日は実施されなかったため,今年の来日も首都圏を中心にホームステイを行う予定です。

f. オレゴン国際キャンプ

 29年目のオレゴン国際キャンプは,自然の中での協力意識を育てつつ,キャンプリーダーとしてのスキルも身につけ,自然との共生への理解を深める目的で行われます。キャンプには同世代のアメリカ人学生も参加し,友情を育みながら相互理解を促進する機会となります。今夏はラボっ子20名と引率者2名の計22名の参加を予定しています。提携団体はオレゴン州ポートランドに本部を置く,オレゴン科学産業博物館(OMSI)です。

2.青少年の国際交流活動 ~ 長期交流プログラム
a.高校留学プログラム

(1)概況:39年目を迎えるラボ高校留学プログラムは,過去1,455名の高校生をアメリカ,カナダに派遣してきました(現在留学中の13名を含む)。高校生年代の若者にとって,外国での約一年間にわたる長期異文化体験は強烈なインパクトを与え,その後の人生に大きな影響を与えています。現在,アメリカ7名(女子3名,男子4名),カナダ1名(女子1名)が参加を予定しています。
 現在留学中の第38期留学生は,13名(アメリカ:9名カナダ:4名)が,アメリカとカナダの高校に10か月の留学中で,全員元気に過ごしています。

(2)選考方法の変更:アメリカの受入れ団は,受験用の英語のオンラインテスト,ELTiS2.0を必須としています。4-Hは800点満点中685点,ASPECTは670点を合格基準点としています。 ただし4-Hはオンラインでのインタビューを行っており,仮に基準点に満たなくても,インタビューの結果がいい場合には合格するケースもあり,ラボでのインタビューの結果,基準点に満たなくても, 英語でのコミュニケーション力がある留学希望者に4-Hのインタビューを受けさせ,これまで全員合格をしています。ラボでは4-Hのインタビュー前にアメリカ人スタッフによる模擬インタビューを行い,本番に備えています。 ASPECTはオンライン申請時に,自己紹介ビデオをアップロードします。また自己紹介用のエッセイもテーマが細かく分かれており,ELTiS2.0の成績とエッセイの内容に乖離が見られた今年は,ASPECTのスタッフによるオンライン・インタービューが初めて実施されました。 カナダは指定された英語のテストが無いのでELTiS2.0を準用し,また基準点もありませんが,ラボとして640点を基準点としています。

(3)準備活動:親子オリエンテーション(オンラインで実施),全国事前研修合宿等(5月の連休に代々木のオリンピックセンターにて実施)の事前準備活動に参加します。

(4)出発:米国への留学生は,8月上旬より,カナダへの留学生は,8月下旬に,グループ単位で日本を出発し滞在先まで移動します。 ただし今年のカナダは1名なので,研修は事前にオンラインで行い,渡航は学校の定めた日に合わせて行います。 到着後に行われる到着時オリエンテーション(アメリカは,4-Hはシアトルで4名,ASPECTは3名で場所はワシントン州べリングハムのWhatcom Community Collegeです。留学先ではホームステイをしながら現地の公立高校に約10か月通学します。

(5)受入れ団体:米国の提携団体は,米国国際教育旅行基準協会(CSIET)に認可をされている非営利団体,4-H,Aspect Foundationです。カナダの提携団体は,各州・各地区の教育委員会(2026年はOkanagan Skaha SD, BC) です。

(6)留学説明会
5月24日(日)にオンラインで、ラボ高校留学と留学に向けた試験について、説明会を行います。

b.大学生年代の交流

(1)インターンプログラム
 今年38年を迎えるラボ・インターンプログラムでは,アメリカから2名の大学生年代の学生を招聘するため,現在選定をおこなっている所です。 現在滞在中のアメリカからの2名のインターンは,2度目の日本語研修を終え,関西と神奈川地域にそれぞれ滞在し,当財団の会員家庭にホームステイしながら,相互理解交流のための役割りを果たしています。 日本文化研究は,ひとりは「禅」もうひとりは「米」に取り組み,帰国前の研究成果発表に備えています。

(2)ラボ・米国大学留学サポート・プログラム
米国高校留学のうち、ASPECTに派遣する留学生の現地到着時プログラムを依頼している、(株)インターネット社と共同で、米国の大学への進学をサポートする事業に取り組みます。5月24日の留学説明会の後に説明会を行います。

3.その他
a. 受入れ団体との合同委員会

(1)米国4-Hとの合同委員会

 2025年は11月に米国ワシントン州シアトルで行われました。今後は2年に1回となりますので,次回は2027年秋となります。ただし,4-Hとの実務的なオンライン・ミーティングは適宜行います。

(2)米国・カナダ受入れ各団体とのミーティング

 カナダの受入れ団体であるコンタクトカナダは,代表者と1月に日本でミーティングを行いました。

4.東京言語研究所の活動
a.理論言語学講座

 理論言語学講座は1966年に開設され,言語学に関心を持ちながら大学の内外で十分な学習の機会・場所が十分ではない研究者・新進の人材の育成を目的に開催されています。
 今年度の理論言語学講座は「言語学概論」(杉岡洋子先生他),「日本語文法理論」(川村大先生),「認知言語学」(池上嘉彦先生)等の講座22課目を開講します。また,新たに3名の講師が初登壇します。

b.春期講座

 春期講座は,現代言語学の主要な研究領域やアプローチを受講者に紹介し,魅力ある言語学の世界に誘うことを目的に実施されます。今年度は4月11日と12日の2日間,16科目をオンライン配信で開講します。

c. 特別講座

 理論言語学を中核に据えた理論言語学講座,春期講座,集中講義に加え,夏期講座・公開講座など現代社会のニーズに合わせた講座を開催し,言語学研究,言語教育に携わる多くの方々の多様な要望に応えてきました。今年は公開講座,集中講義,リレー講義,開設60周年記念セミナーを開催します。

5.外国人のための日本語教育
a. 短期コース

(1) 北米青少年日本語研修プログラム

 今夏,18名が6月中旬から7月上旬まで来日します。当財団会員の日本人家庭にホームステイしながら3週間の日本語研修に参加します。

(2) ラングブリッジ日本語研修プログラム

 20年目を迎えたカナダ・ラングブリッジ教育センター(LanguBridge Education Centre)との提携の日本語研修プログラムも,今夏引率者1名を含めたアメリカ,カナダ,ヨーロッパなどの高校生17名が7月中旬から8月上旬まで3週間の日本語研修プログラムに参加予定です。

6.一般財団法人のパブリシテイ
広報誌『ラボの世界』の発行

 事業概要を紹介し,青少年国際交流や異文化理解教育の促進を行いうために,広報誌『ラボの世界』を年4回発行します。今期も全編ウェブ版(PDF形式)で作成し,ラボ国際交流センターのホームページ上に掲載します。

2026年度各プログラム参加者数概要
1、訪問プログラム 2026年予定人数 前年参加者数
北米(アメリカ・カナダ) 313 372
ニュージーランド交流 77 87
中国交流 27 20
韓国交流 16 16
オレゴン国際キャンプ 21 19
訪問合計 454 514
2、受入れプログラム 2026年予定人数 前年参加者数
北米 33 26
オーストラリア受入れ 0 0
ニュージーランド受入れ 20 12
中国受入れ 12 12
韓国受入れ 15 0
インドネシア交流 0 0
ラボ・インターン 2 2
受入れ合計 82 52
3、高校留学 2026年予定人数 前年参加者数
アメリカ留学 7 9
カナダ留学 1 8
高校留学小計 8 17
4、東京言語研究所 2026年予定人数 前年参加者数
理論言語学講座 500 475
5、日本語研プログラム 2026年予定人数 前年参加者数
北米短期プログラム 15 11
ラングブリッジプログラム 20 15

※訪問プログラムは引率者を含む。

以上