ラボ国際交流は単なる観光旅行や通りいっぺんの修学旅行ではありません。子どもたち自身が何年もかけてこころの準備をし,激動の青春期に入ってゆく前の、最も大切な瞬間である10代の半ばに未知の生活を体験し,そのみずみずしい体験をその後の成長の糧にしてもらおうとするものです。
第一に、子どもたちが深く,温かい人間関係をとおして世界を知るということです。そのためには子ども自身が外国に友だちを作り,友情を育てることが大切です。地球儀と本やインターネットだけで世界を知ろうとするのではなく,人々とのこころのふれあいを通して世界を知っていくことを目指しています。
子どもたちのすこやかな巣立ちを用意することです。「これからおとなの世界へはいっていくのだ」という決意を青少年のある時期に行うことは,昔も今も大切なことです。外国でひと夏をすごすことで,ともすれば現代の親子がおちいりがちな日常の過保護状態から、お互いが自立をする契機としてほしいと願っています。
国際交流に向かっていくことは、ある目標にむかって長い間歩きつづけることのできる子どもたちを育てることにもつながります。おさない日にたてた計画を,5年,10年かかって実現する---そのとき子どもたちは,すでに何ものかをつかんでいるはずです。このラボ国際交流という種子に,自ら朝夕かかさず,よろこんで水をやる習慣がつくよう,わたしたちおとなは見まもりたいと考えます。
外国のホストファミリーの家庭にホームステイをする間には,楽しいことや嬉しいことだけでなく,つらいことや嫌なことも出てくるかもしれません。日本にいて保護者がいつも面倒を見てくれる環境では,あまり大きな問題は起きないでしょう。しかし,他人の家庭でホームステイをすると,自分の判断や自分の力で解決しなければならない場面にしばしば出会います。この体験はその後の自己の成長や自信に大きく貢献するでしょう。
地図や本、インターネットの上で知っている外国ではなく,外国のもう一つの家族とともに生活をしながら,直接肌で触れたり,見たり,聞いたりして,そこに住む人たちについて学ぶことはとても大切なことです。今まで育った環境とはまったく異なる土地で、外国の人たちに接することによって,生活や習慣,考え方の違いだけでなくいろいろな文化の違いも発見するでしょう。
「郷に入れば郷に従え」ということわざがありますが,外国での生活にこそ、このことばはあてはまるでしょう。日本と異なる文化や習慣を素直に受け止め,現地の人たちの生活方法を理解し、ありのままに認めるという柔軟な心があれば,相互理解が深まります。異文化を理解することによって,あらためて自分自身や日本のことがわかるでしょう。
1972年 | ラボ国際交流スタート。179名がアメリカのワシントン,アイダホ両州4-H家庭を訪問。 |
1973年 | 財団法人ラボ国際交流センター設立。初代会長に元東京大学学長大河内一男氏が就任。米国4-Hクラブから青少年318名が来日。 |
1975年 | カナダとの交流開始。中・高生26名参加。 |
1977年 | 第1回日韓青少年交流スタート。120名が参加。 |
1982年 | 日豪交流スタート。オーストラリア青少年50名来日 |
1983年 | 16名がオーストラリアへ初訪問 |
1986年 | 4-H・ラボ国際交流15周年。ラボ・4-Hユース代表相互訪問。ラボ・中国青少年交流開始。33名が中国を訪問。「第2言語の習得に関する国際シンポジウム」開催。 |
1987年 | 多文化共生の推進と日本語普及設立。『日本語教員養成講座」および「外国人のための日本語講座」を開講。諸外国大学生年代のわかものを対象としたインターンプログラム開始。 |
1988年 | ラボ高校留学プログラム開始。21名が1年間のアメリカでの留学生活を始める。 |
1989年 | 中国,北京月壇中学との交流で史上初のホームステイ交流が実現。 |
1990年 | 日中青少年交流史上初のホームステイが中国で行われる。 |
1991年 | 4-H・ラボ国際交流20周年。イギリスとの交流開始。25名がイギリスを初訪問。青少年によ る国際シンポジウム「地球環境と私たち」と教育シンポジウム「こども・ことば・ものがたり」を開催。日米相互父母交流実施。 |
1993年 | メキシコとの交流開始。13名が訪問。 筑摩書房により,「ひとりだちへの旅——30000人のホームステイ」発刊。 |
1995年 | 日中青少年交流10周年。両国で記念式典開催。 |
1996年 | ラボ国際交流発足25周年記念「日米国際教育フォーラム」を米国バージニア州ウイリアムズバーグで開催。 |
1997年 | 「日米国際教育フォーラム」を日本で開催。「日米こども教育フォーラム」を全国25ヶ所で開催。オレゴン国際キャンプに37名参加。 |
1998年 | ラボ高校留学10周年記念のつどい開催。留学参加者600名超える。 |
2000年 | 日中交流15周年。「日中青少年シンポジューム」を北京で開催。「日・中・米の3ヶ国青少年による国際シンポジューム」を東京で開催 |
2001年 | 韓国との交流再開。32名の韓国青少年来日。56名が冬の韓国を訪問。 |
2002年 | ラボ・ニュージーランド交流開始。交流相手はタウランガ・インターミディエット・スクールが中心。35名参加。 |
2005年 | 日中交流20周年。北京と東京で記念式典を開催。 |
2006年 | ラボ国際交流35周年。国際理解教育ワークショップ全国35ヶ所で実施。 |
2007年 | ニュージーランドから8名初訪問。相互交流が実現。 |
2008年 | 東京言語研究所初代所長故服部四郎生誕100周年記念シンポジューム開催。 |
2009年 | 米国国際派遣基準協会(CSIET)認可の4つの非営利団体がラボ高校留学の受入れ団体になる。 |
2010年 | 日中青少年交流25周年。北京市と東京で記念式典開催。 |
2011年 | ラボ国際交流40周年。記念事業「子どもの未来を考えるフォーラム」開催。 日米青少年交流40周年記念で2011 4-H Coordinators'Conferenceに日本から青少年指導者(ラボ・テューターら)25名が参加。 |
2012年 | 内閣府公益認定等委員会より公益認定を受け,4月1日より公益財団法人ラボ国際交流センターに移行。 インドネシア高校生が日本文化スタディツアーで19名来日。 |
2013年 | 社団法人韓国ラボ創立40周年記念式典に全国のラボ・テューター参加 |
2015年 | 日中青少年交流30周年 3月に北京・民族文化宮,8月に長野・黒姫ラボランド記念式典開催 |
2017年 | 30年以上に渡り日本と中華人民共和国との相互理解の促進を図った功績により、外務大臣表彰を受ける。 |
2018年 | ペンシルバニアナノメイト協会との交流が40周年を迎える。 |
2020年 | ラボ国際交流中止。 各種オンライン国際交流プログラムを実施。 |
2021年 | 第34期ラボ高校留学プログラム実施。 オンライン国際交流プログラム「未来プロジェクト」実施。 |
2022年 | 2月 一般財団法人に移行。 3年振りにアメリカへの訪問プログラム(ホームステイ,オレゴン国際キャンプ)を再開。 |
2023年 | 4年振りに,カナダ,ニュージーランド,韓国との交流を再開。日本での受入れプログラムも再開した。 |